なぜ金縛りになるのか?そのメカニズムと原因・対策など

身体を動かそうと思っても動かせない「金縛り」ですが、これは専門的には睡眠麻痺と呼ばれている現象です。睡眠学の分野では、昔から学術対象として研究されてきました。

だいぶ古いデータになりますが、1987年に金縛りに関する調査が日本で実施されています。それによると、大学生の約40%が金縛りにあった経験がある[※1]と答えています。

このデータを見るかぎり、金縛りは多くの人に起こりうる現象と言えます。ちなみに私自身も、10代後半の頃はひんぱんに金縛りにあっていました。

では、金縛りはなぜ発生するのでしょうか。このページでは、金縛りのメカニズムと発生原因、そして金縛りを防ぐための対策などをご紹介します。

※1:好きになる睡眠医学 第2版 / 内田直 P.101 による]

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金縛りの発生メカニズム

金縛りについて覚えておきたいのは、「金縛りは起きている間ではなく眠っているときに起こる」ということです。意識がはっきりしているため、目が覚めている間に金縛りにあっている気がするかもしれませんが、それは誤解です。

睡眠には2種類があって、それぞれレム睡眠、ノンレム睡眠という名称がつけられていますが、金縛りはレム睡眠の最中に発生します。

レム睡眠は一言で表すと「浅い眠り」で、夢を見ているときの睡眠です。この睡眠のあいだは脳の活動は比較的活発ですが、それに対して身体は完全に弛緩しています。

特徴 レム睡眠 ノンレム睡眠
眠りの深さ 浅い 深い
比較的活動している。そのため眼球に動きがみられる。 休んでいる
完全に弛緩している。筋電図も最低の値になる。 休んでいるが、筋肉の活動は少しある。
自律神経 不安定になる。心拍数の変動も激しい。 副交感神経が優位になり、ゆったりした状態。

レム睡眠の最中に、何かのはずみで意識が覚醒するとどうなるでしょうか。筋肉はゆるみきっているので、たとえ脳から「身体を動かせ」という指令が出ても動かすことはできません。しかし脳はある程度覚醒しているため、身体が動かないことを認識できてしまいます。これが金縛りの正体です。

なお、「呼吸を制御する筋肉」はレム睡眠中でも動かすことができます。金縛りの最中でも呼吸停止にならないのはそのためです。

金縛りを引きおこす原因は?

金縛りを引きおこす原因はいくつかありますが、その中でも一番の原因は「睡眠リズムの乱れ」です。朝起きる時刻と夜眠りにつく時刻に変動がある生活をしている人は要注意です。覚醒と休息のリズムが乱れてしまい、レム睡眠のあいだに中途半端に覚醒しやすくなるからです。

たとえば「夜勤のある仕事をしている」「時差のある地域に行く機会が多い」といった人は睡眠リズムが乱れやすいため、金縛りにあうリスクが高まります。

そのほかには、精神的なストレスや極度の疲労も金縛りを引きおこす原因と言われています。

なお、大学生600以上を対象にした調査によると、初めて金縛りを体験したときの年齢は15~18歳が多いという結果が出ています。思春期を迎えて肉体的な変化が起きるために金縛りになりやすいようです。

また、10代後半になると大学や専門学校に入ったり、働き出したりして睡眠リズムが不規則になることも金縛りと関係しています。

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金縛りを防ぐための対策

金縛りを回避するには、原因となっているものをできるだけ遠ざけることが大切です。

たとえば不規則な睡眠リズムが原因なら、休日の夜更かしや朝寝坊をやめて、できるだけ毎日同じ時刻に睡眠をとるようにします。

夜勤などの勤務体制が関係している場合は難しいかもしれませんが、【夜勤が続くときと夜勤が明けたとき】睡眠を効果的なものにするためのコツを参考にして、夜勤中でも質のいい睡眠をとれるように工夫してみてください。

また、精神的なストレスが原因として考えられるなら、寝る前にリラックスタイムを作るのが効果的です。アロマバスでゆったりする、お気に入りの本を読んでくつろぐなど、小さなことが金縛りを防いでくれる可能性もあります。

ストレスの根本的な原因を取りのぞけるなら、それが一番いいのは間違いありません。

しかし、多くの場合それは難しいはずです。少なくとも就寝前だけはリラックスする時間を作って、ストレスを軽減するようにしましょう。また、抱き枕を使って安心感を得るのも、金縛り対策にいいかもしれません。

ひんぱんに金縛りになるとしたら、それは身体がSOSを出している証拠とも言えます。睡眠リズムを含めた生活習慣を見直すいい機会ととらえて、改善できるところは改善していきましょう。

【追記】眠り始めに金縛りになりやすいのはナゼ?

金縛りは寝入りばなの時間帯に起こりやすいですが、これも睡眠のリズムが乱れていることが関係しています。

次のグラフは睡眠深度と睡眠時間の関係を表したものです。人間の睡眠には、一定の周期(約90分)でレム睡眠が現れます。

しかし、睡眠リズムが乱れていると、眠り始めにレム睡眠が出現しやすくなります。そして、それに合わせて金縛りも頻発するのです。

ちなみに、寝入りばなの金縛りは「ナルコレプシー」という睡眠障害にかかっているときによく見られる症状です。

ナルコレプシーとは……

過眠症のひとつで、日中、強い眠気に襲われて居眠りをしてしまう病気です。一回の居眠りは10~20分程度と短いのですが、1時間ほどたつと、また強い眠気がやってきます。そのため、短時間の居眠りを繰りかえすという特徴があります。

眠り始めに金縛りにあったり幻覚を見たりするだけでなく、日中に異常な眠気を感じて眠りこんでしまう……このような症状がある場合、ナルコレプシーになっている可能性があります。睡眠障害を専門としている病院の診察を受けましょう。

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