子供によくみられる『夢遊病』の具体的な症状&原因、そして治療法

夢遊病は「脳が眠っているにも関わらず身体は動かせてしまう」という睡眠障害です。専門的には睡眠時遊行症(すいみんじ ゆうこうしょう)と呼ばれています。

その症状の度合いには個人差があり、ベッドの周りを行ったり来たりするだけの場合もあれば、着替えをしたり外に出ようとしたりなど、複雑な行動をする場合もあります。

このページでは、夢遊病の具体的な症状や発生原因、治療方法などについてご紹介します。なお、大人の夢遊病については別ページに移動しました。

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睡眠時遊行症の具体的な症状とは?

「夢を見ている最中に、その夢の内容通りに動くのが夢遊病」と想像する方は少なくないと思います。

しかし、実はそうではありません。夢遊病で動きまわっている最中は、実は夢を見ていないのです。夢遊病は、レム睡眠時(夢が出現する睡眠段階)ではなく、深いノンレム睡眠のときに発生することが睡眠関係の研究で明らかになっています。

ノンレム睡眠のときは、基本的には夢を見ていません。ですので、夢遊病という言葉から連想するイメージとは違い「夢を見ていないのに歩き回ってしまう」というのが夢遊病なのです。
(そういう意味では、睡眠時遊行症という専門用語のほうが、症状を正確に表していると言えます)

深いノンレム睡眠は、眠りについてから1~2時間後に出現します。そのため、睡眠中に歩きまわる症状(夢中遊行)もその時間帯に集中して現れます。

深いノンレム睡眠のときに夢中遊行が現れるということは「そう簡単には目を覚まさない」ということを意味します。深いノンレム睡眠は、耳元で大きな物音がしても目を覚まさないレベルの睡眠だからです。声をかけたくらいで目を覚ますことは通常ありません。

夢中遊行の最中に話しかけると、一応それなりの対応は見せますが、はっきりとした受け答えはできません。また、目は開けているので自身の行動を見ることはできているようですが、それに対する反応は欠落しています。

なお、放っておいても、ほとんどの場合15分くらいすると自力でベッドに戻って、正常な睡眠に戻ります。また、子供の場合は夜驚症をともなうことが数多くあります。
(夜驚症:夜中に突然起きあがって、激しい恐怖感とともに叫んだり泣いたりする睡眠障害)

朝になって目が覚めたときには、夢中遊行の記憶が消失しているのも夢遊病の特徴です。

補足

夢遊病と似た睡眠障害に「レム睡眠行動障害」というものがあります。これはレム睡眠の最中に叫んだり暴れたりするというものです(夢の内容通りに行動してしまう)。

夢遊病が子どもに多くみられるのに比べて、レム睡眠行動障害は50代以降の男性がかかることがほとんどです。

詳細:眠りながら叫んだり暴れたりする『レム睡眠行動障害』の症状・治療薬など

明確な原因は分かっていない

夢遊病は、歩くことが可能な年齢になったら、どんな子どもにも起きる可能性があります。子どもの夢遊病の有症率は17%※1と言われていて、ほかの睡眠障害に比べるとかなり高いです。4歳~8歳が発症のピークですが、成長するにしたがって自然に消失します。

子ども時代の夢遊病は、脳の一部分(睡眠覚醒周期をコントロールする機能)が発達途中であることが関係していると言われています。

通常、脳が眠りから覚めるときはどの部分も一斉に覚醒します。しかし夢遊病にかかっている場合、運動を制御する部分だけ先に覚醒してしまい、意識を制御する部分は眠ったままになります。その結果として夢遊病が発生します。

ただし、夢遊病のメカニズムは完全には判明していません。たとえば脳のどの部分がうまく制御できていないのか、正確な部位は分かっていません。
(大脳皮質の一部分だと推測されています)

なお、夢遊病には遺伝的要因も関係しています。両親のどちらかが夢遊病である場合、子どもの50%近くが同じく夢遊病になる※2という報告も出されています。

※1:睡眠障害国際分類 第2版 診断とコードの手引 P.147 による]
※2:睡眠学 / 日本睡眠学会(編) P.534 による]

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積極的に治療したほうがいい?

「脳の一部がまだ発達しきっていないこと」が夢遊病の原因だとしたら、脳が成長を終える段階になれば、症状は自然消失するのでしょうか。

答えはYESです。実際、思春期になる前には夢遊病の症状はほとんど出なくなります。積極的に治療しなくて良いとされているのも、成長にともなって自然に治るからです。

しかし、複雑な行動ができてしまう場合は治療を検討しましょう。自力で部屋から出られるレベルになると、命にかかわる可能性もあります(階段から落ちてしまうなど)。

まずは、睡眠障害クリニックや総合病院の睡眠外来などに足を運んで、医師に相談してみてください。

なお、大人の夢遊病は積極的に治療するのがベターです。子どもに比べると、大人は複雑な動作(料理や車の運転)ができるため、夢遊病の危険度が高いです。

家庭でできる対策はある

子供の夢遊病対策で重要なのは、できるだけ子供に早く眠ってもらうことです。

たとえば子供が夜9時に寝たとすると、夢中遊行が発生するのは夜10~11時あたりになるはずです(眠り始めの1~2時間に集中して発生するため)。このくらいの時間帯であれば、まだ親は起きていられます。たとえ子供が歩き回って自室から出てしまっても、親の力でカバーすることができます。

しかし、かりに子供が深夜0時に寝ついたとしたら、夢中遊行が起きるのは夜中の1~2時です。親のほうもぐっすり眠ってる時間帯でしょうから、問題が発生したときのカバーが充分にできません。

なお、「強い光や大きな音」は夢遊病を引き起こす要因と考えられています※3。これらの刺激を寝ている子どもに与えないよう、寝室環境には気をくばりたいところです。

(眠りにつく1~2時間前から家の照明を暗めにする、テレビの音などを小さして静かに過ごす、なども効果的かもしれません)

寝室環境に関しては、夢中遊行の最中にケガをしないように配慮するのも大切です。たとえば、とがったものや壊れやすいものを取り除いておく、窓ガラスに厚めのカーテンを下げておく、などが具体的な対策です。

※3:睡眠障害国際分類 第2版 診断とコードの手引 P.148 による]

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