入眠障害向けの睡眠薬の選び方

「ベッドに入ったあとも目が冴えて眠れなくて、そのまま1時間もたってしまった……」

これは不眠症の一つ『入眠障害』の典型的な症状です。その原因はいろいろ考えられますが、基本的には入眠障害を改善する方法で述べたような対策をとることで、症状が落ち着いてきます。

しかし、改善までに時間がかかるのも事実です。そこで、ひとまず現状の寝つきの悪さを解決するために、睡眠薬を利用するのもひとつの選択肢になります。

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キレのいい睡眠薬が入眠障害に適している

入眠障害に向いているのは、次の2つの特徴を持っている睡眠薬です 。

1つ目は、服用してから30分以内に効果が現れることです。一言で睡眠薬といっても、睡眠作用が現れるまでの時間は同じではありません。服用して15分で眠くなる薬もあれば、1時間たってから強い効果が現れるものもあります。入眠障害に適しているのは、もちろん早く眠気がやってくる睡眠薬です。

2つ目の特徴は、朝起きる前に薬の作用が消えることです。入眠障害の場合は、寝入りばなだけ睡眠をサポートできればいいので、薬の持続時間は短くてかまいません。

「寝ている間ずっと効果が続くほうがいいんじゃないの?」と思う方もいると思います。しかし、必要以上に効き目が長い薬を使ってしまうと、朝の目覚めが悪くなる、日中まで眠気が残るなどの悪影響が出ます。

以上の2点をふまえると、入眠障害に適しているのは「超短時間作用型」と「短時間作用型」というタイプの睡眠薬です。その名のとおり、作用する時間(=効果の持続時間)が短く、服用後3~6時間くらいで睡眠作用が無くなります。また、服用して30分以内に効果発現するものが多いので、その点でも入眠障害の改善に向いています。

種類 持続時間 適用の目安
入眠障害 中途覚醒 早朝覚醒
超短時間作用型 3~4時間
短時間作用型 5~6時間
中間作用型 7~8時間
長時間作用型 9~10時間

ちなみに、睡眠薬には「中間作用型」「長時間作用型」というタイプもあります。これらは持続時間が長いため、朝まで薬が残りがちです。また、効果発現までに時間もかかるので入眠障害には適していません。さらに、連日にわたって服用すると、薬が体内に蓄積するという欠点もあります。

こう書くと、中間作用型や長時間作用型には良いところがないようにも思えますが、不眠症の種類によっては非常に有効です。

具体的には、
眠っている間にひんぱんに目が覚めてしまう(中途覚醒)
朝早くに目が覚めてそのあと再入眠できない(早朝覚醒)
に対して、持続時間の長い睡眠薬が使われています。

作用型ごとの持続時間をイメージ図にしましたので、参考にしてみて下さい。

具体的な薬とその特徴

入眠障害の対策で使われる「超短時間作用型」と「短時間作用型」の睡眠薬一覧です。

分類 商品名 薬剤名 最高血中濃度到達時間 血中半減期
超短時間
作用型
マイスリー ゾルピデム 0.8時間 2.3時間
ハルシオン トリアゾラム 1.2時間 2.9時間
アモバン ゾピクロン 0.8時間 3.9時間
ルネスタ エスゾピクロン 1~1.5時間 5時間
ロゼレム ラメルテオン 0.75~0.88時間 1時間未満
短時間
作用型
デパス エチゾラム 3.3時間 6.3時間
リスミー リルマザホン 3時間 10.5時間
レンドルミン ブロチゾラム 1.5時間 7時間
エバミール
ロラメット
ロルメタゼパム 1~2時間 10時間
ベルソムラ スボレキサント 1.5時間 10時間

現在のところ、主流になっているのはマイスリーです。2000年に誕生した比較的新しい薬で、従来の睡眠薬に比べると副作用(筋弛緩作用など)が弱いのが特徴です。また、人間の自然な睡眠構造をいじらないという長所もあります。その反面、抗不安作用は弱いので、不安感が原因で眠れない人には向いていません。

古くから使われているハルシオンは、マイスリーに比べると副作用は強めですが、そのかわり不安感をおさえる作用があります。寝る前になると不安な気持ちが出てきて、そのせいで寝付けない方には適しています。

なお、血中濃度の上がり方から考えると、睡眠作用がすばやく現れるのはマイスリー・ハルシオン・アモバンの3つです。おおむね15分から30分ほどで効いてくるようです。

※ 短時間作用型の睡眠薬(デパスやリスミーなど)については、中途覚醒の睡眠薬一覧で述べていますので、そちらを参照してください。

ロゼレムとベルソムラは依存性が少ない

そのほかには、少し変わっている睡眠薬としてロゼレムがあります。2010年に発売された新しい薬で、眠気をもたらすまでの仕組みが他の睡眠薬と異なっています。

従来の睡眠薬は、脳の活動を強制的に抑えることによって睡眠を誘導していました。しかしロゼレムは違います。人間の体内時計に働きかけて睡眠をうながすように設計されています。睡眠作用そのものは弱いですが、自然な眠りを期待できる薬です。
(詳細:ロゼレムは新しいタイプの睡眠薬。その効果や副作用は?

また、2014年には新薬ベルソムラが発売になりました。この薬も、従来型の睡眠薬とは作用メカニズムが異なっています。脳内の覚醒物質「オレキシン」の働きをブロックすることによって、眠気をもたらします。
(詳細:新薬ベムソムラはどんな不眠症に有効?

ロゼレムとベムソムラは、睡眠薬としての効力は未知数な面があります。しかし注目したいのは、依存性がとても弱いという長所です。

睡眠薬依存になってしまうと、たとえ元の不眠が治ったとしても薬をやめられなくなります。「睡眠薬の依存性はたいしたことない」という意見もありますが、現実には10年以上にわたって服用を続けている人もいます。とくに、作用時間の短い睡眠薬は依存になりやすいので注意が必要です。

まとめ

超短時間型と短時間型を合わせると10個近くも薬があるため、どれを使えばいいのか、その判断には医師も頭を悩ませています。

ただ、確実に言えるのは「この薬は自分に合う・合わない」という相性が存在することです。

これは、単に効果の出やすさについて言っているのではありません。薬が合わないと、特殊な副作用が出る危険性もあるのです。たとえば、マイスリーは副作用が少なめの薬ですが、人によっては夢遊病のような症状が発生することが報告されています(詳細:入眠障害によく使われるマイスリーの基礎知識)。

最初から自分に合う薬が処方されればいいのですが、それはなかなか難しいです。服用してみて薬が合わないと感じたら、そのことを主治医に伝えて、別の睡眠薬を試してみましょう。

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