依存性の弱い睡眠薬はどれ?

前ページ(睡眠薬を使うと依存になるのか?)で述べましたが、睡眠薬依存の問題は「薬をやめる段階」で表面化します。断薬するときになって、さまざまな離脱症状(不眠や不安)が現れて、何週間も眠りにくい日が続いてしまうのです。

もともとの不眠は治っているのに、離脱症状のせいで睡眠薬をやめられない人は少なくありません。

睡眠薬を服用する以上、依存のリスクから逃れるのは簡単ではありません。しかし、そのリスクを減らすことはできます。依存性の少ない睡眠薬を使えばいいのです。

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依存になりにくい睡眠薬は2つある

睡眠薬にはいくつか種類がありますが、その中には依存性の強いものと弱いものがあります。

● 睡眠薬の種類と依存性の強さ

現在のところ主流となっているのは、ベンゾジアゼピン系(BZ系)睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系(非BZ系)睡眠薬です。

  • ベンゾジアゼピン系(BZ系)……ハルシオンやデパスなど
  • 非ベンゾジアゼピン系(非BZ系)……マイスリーやアモバンなど

この2つを比べた場合、非BZ系のほうが依存におちいりにくいことが分かっています。しかし、世の中にはBZ系や非BZ系よりも依存性の弱い睡眠薬が存在します。それは、メラトニン受容体作動薬[商品名:ロゼレム]とオレキシン受容体拮抗薬[商品名:ベルソムラ]です。

ロゼレムは2010年、ベルソムラは2014年に発売された新しい薬です。従来の睡眠薬とは作用メカニズムが異なっていて、依存性と副作用が少ないとされています。そのぶん睡眠作用はあまり強くないのですが、最初に使う睡眠薬としては適しています。

ただし、この2つの睡眠薬は作用時間が短いため、不眠の症状によってはあまり効果が期待できません。

たとえば、早朝覚醒(朝早くに目が覚める)をおさえるためには、朝まで睡眠効果がしっかり残ることが重要です。しかし、ロゼレムやベルソムラの作用時間では、朝を迎える頃にはその効果は弱くなってしまいます。

このような弱点もあるのですが、入眠障害(なかなか寝つけない)中途覚醒(夜中に目が覚める)を防ぐためには心強い見方になると思います。

ちなみに、新しい薬なので薬価は高めです。

薬品名 薬価(円)
ベルソムラ錠 20mg 107.9
ベルソムラ錠 15mg 89.1
ロゼレム錠 8mg 84.9
マイスリー錠 10mg 69.7
マイスリー錠 5mg 43.7
ハルシオン 0.25mg錠 14.7
ハルシオン 0.125mg錠 10.2

※ 薬価は変わる可能性があります

高価な睡眠薬と言われているマイスリーと比べても、ロゼレムとベルゾムラは高額です。

しかし、実際の費用はそれほどかからないので安心してください。試算してみたところ、一番高いベルソムラ錠20mgでも1ヶ月分で約1500円でした。
(3割負担の場合です。また調剤報酬を含んでいます)

作用時間の短い睡眠薬は依存になりやすいけれど……

ロゼレムやベルソムラで効果が得られない場合は、従来型(BZ系と非BZ系)の睡眠薬の出番になります。

ここで知っておきたいのは作用時間という考え方です。「作用時間=睡眠効果の持続時間」のことですが、薬によって大きな差があります。短いものだと服用後3時間くらいで効き目がなくなりますし、長いものなら9時間以上も効果が持続します。

そして、重要なのは「作用時間と依存性には関連がある」という事実です。具体的には、BZ系と非BZ系睡眠薬の場合、作用時間が短いものほど依存になりやすいという特徴があります。

作用時間は次の4つのタイプに分類されていますが、もっとも依存性が高いのは「超短時間作用型」の睡眠薬です。

よく使われている超短時間作用型の睡眠薬は、次の4つです。

この中でも、ハルシオンは作用時間が短いだけでなく、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬なので非常に依存におちいりやすい薬と言えます。それに対してマイスリーやアモバンは非ベンゾジアゼピン系で、ハルシオンよりは依存性は弱めです。

依存になりにくい点では、作用時間の長い睡眠薬のほうが優れています。たとえば中間作用型のサイレースやロヒプノール、長時間作用型のドラールなどは中途覚醒や早朝覚醒を防止するために使われていて、実績も充分です。

ただし、中間作用型や長時間作用型の睡眠薬は、連用すると体内に薬が蓄積するという欠点があります。使い続けると、日中の眠気や倦怠感、運動能力の低下にもつながります。

短時間だけ作用する睡眠薬は依存性が高い、でも長時間作用する睡眠薬は体内に蓄積する……こうなると、どれを使えばいいのか分からなくなりますよね。

しかし、睡眠薬を選択するときの大前提は「不眠の症状に合ったものを使う」です。たとえば、入眠障害に悩まされてる方には、やはり短時間だけ作用する睡眠薬が適しています。そこであえて作用時間の長い薬を選択するのは、総合的に考えればデメリットのほうが大きいはずです。

補足

冒頭で述べましたが、睡眠薬依存の問題は薬をやめる段階で出てきます。断薬する際に一時的に強い不眠が現れるせいで、薬をやめられなくなるのです。この断薬時の不眠は、作用時間が短い睡眠薬ほど強く現れます。

これをうまく回避するために「断薬段階になったら、別の睡眠薬に変える」という方法があります。薬をやめる段階になったら、作用時間が長い睡眠薬に切り替えることで、断薬時の不眠を軽減するのです。

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