現代病のひとつ『交代勤務睡眠障害』の原因と対策

交代勤務や深夜勤務をしている方によく見られるのが「交代勤務睡眠障害」です。この睡眠障害にかかると次のような症状が現れて、満足のいく眠りが得られなくなります。

  • なかなか寝つけない
  • 寝てもすぐに目が覚めてしまう
  • 眠っても疲れがとれない

厚生労働省が2002年に実施した調査によると、睡眠障害の症状は夜勤者の2割近くに見られるという結果が出ていますので、代表的な夜勤病のひとつとも言えます。

● 夜勤者がかかりやすい病気の代表例

胃腸症 51.0%
高血圧性疾患 22.6%
睡眠障害 18.8%
肝疾患 13.1%
糖尿病 6.9%
心身症 5.4%

※ データは基礎講座 睡眠改善学(ゆまに書房)からの引用

このページでは、交代勤務睡眠障害の原因と対策について述べていきます。

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交代勤務睡眠障害になってしまう原因は?

交代勤務睡眠障害の症状(寝つきが悪い、すぐに目が覚めるなど)が現れる原因は、大きく分けて次の2つです。

1.体温が高いまま眠らなくてはならないから

人間の体温には一定のリズムがあります。朝から昼にかけて上昇していき、夜になると急に下がります。

この体温の変動リズムは、日勤でも夜勤でも変わりません。そのため、夜勤をしている間は体温が高い時間に眠ることになります。

ここで問題になるのは、体温が高いと寝つきが悪くなるばかりでなく、「眠りの深さ」が奪われてしまうということです。

一般的に、眠り始めの3時間には深い睡眠が現れて、脳と身体の疲れを大きく回復してくれます。

● 通常の睡眠リズム

しかし、眠り始めに体温が高いままだと、深い睡眠にうまく入っていけなくなります。その結果、「寝てる最中にひんぱんに目を覚ましてしまう」「寝たはずなのに疲れがとれない」という症状が出てきます。

● 眠りが浅いときの睡眠リズム

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2.太陽光を浴びる時間が少ないから

もうひとつ挙げられる原因は、太陽の光を浴びる時間が少ないことです。

太陽の光と睡眠障害には何の関係もないようにも思えますが、実は大きな関係があります。日光をしっかり浴びないと、睡眠をうながすホルモン「メラトニン」が人間の脳内で作れなくなってしまうのです。

メラトニンは人間を眠りに誘う物質です。これが脳内でたくさん分泌されれば、自然な眠気がやってきます。

しかし、メラトニンが分泌されるにはいくつか条件があります。もっとも重要なのは、メラトニンの前駆物質である「セロトニン」が体内にたくさんあることです。

● セロトニンが形を変えたものがメラトニン!

ここで重要な役割を持っているのが「太陽の光」です。セロトニンを体内で作るときには、太陽の光が欠かせないのです。つまり、日光を浴びる時間が少ないと、セロトニンがうまく生成されず、結果的にメラトニンの分泌量も減ってしまうということです。

● まとめると……

夜勤のときは太陽を浴びられない
 ↓
セロトニンが不足する
 ↓
メラトニンが不足する
 ↓
寝つきが悪い、目が覚めやすいなどの症状が現れる
(交代勤務睡眠障害)

交代勤務睡眠障害を改善するための対策

根本的に改善するには、夜勤やシフト勤務のない仕事に就くしかありませんが、それは難しい場合が多いはずです。そこで、交代勤務睡眠障害の症状を少しでも軽くするためにどうすればいいか?という観点から、いくつか対策をご紹介します。

1.体温が上がる前に寝る

夜勤が続いている間は、家に帰ったらできるだけ早くベッドに入るようにしましょう。なぜなら、朝から昼、夕方と時間がたつにつれて体温は高くなるからです。

体温が高くなればなるほど、睡眠に適した状態から遠ざかります。そのため、なるべく体温が上がる前に眠ってしまおう、ということです。

2.可能なら「日勤→準夜勤→深夜勤」の順にシフトを組む

3交代勤務では、勤務ローテーションを工夫することによって、交代勤務睡眠障害にかかりにくくなります。具体的には「日勤→準夜勤→深夜勤」の順にシフトを組むとベストです。

人間の睡眠リズムをコントロールしている「体内時計」は、24時間よりも長い周期で動いています。そのため、眠る時間帯が後ろにずれることには適応しやすいという特徴があります。「日勤→準夜勤→深夜勤」というシフトは、就寝時刻が遅くなっていく方向ですので、体内時計の観点から見れば負担が少なくて済むのです。

逆に言えば、「深夜勤→準夜勤→日勤」というシフトは最悪ということです。職場の環境によっては難しいかもしれませんが、勤務ローテーションにはできるかぎり気を配りたいところです。

3.高照度光療法をやってみる

先ほど述べたとおり、交代勤務睡眠障害になってしまう原因のひとつは「太陽の光を浴びられないこと」ですが、それに対して有効なのが高照度光療法(ライトセラピー)です。

これは、専用の機械を使って強めの光(2500ルクス以上)を浴びるという単純なものです。太陽を浴びられない分を、人工的な光で補おうという考え方にもとづく治療法で、「睡眠相後退症候群」や「非24時間睡眠覚醒症候群」など、いろいろな睡眠障害の改善に利用されています。

高照度光療法の実施タイミングは、睡眠障害の種類によりけりです。交代勤務睡眠障害の場合、基本的には夜勤期間が終わってから実施します。

朝起きてから1~2時間ほど時間をとって光を浴びないといけないので、手軽な方法とは言いがたいですが、試してみる価値はあると思います。

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