眠りながら叫んだり暴れたりする『レム睡眠行動障害』の症状・治療薬など

寝ているときに突然起きあがって、大声で叫んだり暴れまわったりする……こういった通常起こりえない行動が現れるのが「レム睡眠行動障害」です。

この睡眠障害は、どの年齢層でも発症しますが、とくに50歳以上の男性に多く見られます。また、高齢者の0.5%が発症すると言われています。200人に1人という割合ですから、意外と多いと言えるかもしれません。

なお、患者さんの9割は男性です。なぜ男性に集中して発症するのかは分かっていません。

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どんな症状がある?

レム睡眠行動障害にかかっていると、眠っている最中に次のような行動をとるようになります。

  • 大声や叫び声をあげる
  • 手足をバタバタ動かす
  • ベッドから飛び起きて暴れる

朝目が覚めたときには、自分のした行動を忘れていることが多いです。しかし、次のような記憶が残っていることもあります。

  • 怪物に襲われたから戦っているつもりだった。
  • クマから逃げようとして、一生懸命走っていた。
  • サッカーのドリブルをしているつもりで、足をバタバタ動かしていた。

ここでポイントになるのは、「夢を見ている最中に異常行動が起こる」ということです。
(この点は、夢遊病とは大きく異なっています)

人はレム睡眠の最中に夢を見ます。このとき脳は部分的に活動していますが、それに対して身体の筋肉は完全にゆるんでいます。

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脳の一部が活性化している状態で筋肉が動くと、夢と同じ行動をとってしまって危険です。そのため、レム睡眠中は筋肉に力が入らないようになっています。

しかし、何らかの原因によってレム睡眠のときにも筋肉が動くことがあります。そうすると、夢の中の行動が現実にも反映されます。これがレム睡眠行動障害です。

このとき見る夢は、なぜか悪夢が多いです。典型的な内容は「危険な動物や怪物に追われる」「誰かに襲われて殺されそうになる」などです。レム睡眠行動障害に「殴る蹴る」という暴力が多く見られるのは、攻撃に抵抗するための防御行動をしているからです。

なお、一般的にレム睡眠行動障害は、眠りについたあと90分以上たってから現れます。これは、眠り始めてから最初のレム睡眠が現れるまでに90分かかるからです。また、睡眠前半よりも後半に現れることが多いです。

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根本的な原因は分かってない

なぜレム睡眠の最中に身体を動かすことができるのか、その原因ははっきりしていません。

ひとつ言えるのは、レム睡眠行動障害はパーキンソン病などの神経系の病気を抱えている方によく見られるということです。そのため、神経系に何らかの異常があり、その影響によって筋肉を動かすスイッチが入ってしまうと考えられています。

※ パーキンソン病にかかる前触れとして、レム睡眠行動障害が発症することがあります。そのため、レム睡眠行動障害の症状が現れたら、早めに神経科医の診察を受けることが大切です。

そのほかには、特定の薬を服用することが、レム睡眠行動障害の引き金になります。たとえば、三環系抗うつ剤や選択的セロトニン再取り込み薬(SSRI)は、レム睡眠行動障害を誘発する可能性があります。

なお、レム睡眠行動障害を増強するのは「心理的ストレス」と「アルコール」です。夜寝つきが悪いために寝酒を利用している人は多いかもしれません。しかし、総合的に考えると寝酒は眠りに悪影響があります。
(詳細:寝酒は寝つきが良くなるけれど……

有効な治療薬がある

レム睡眠行動障害には有効な薬があります。それはクロナゼパム〈商品名:リボトリールなど〉です。これは主にてんかんの発作を予防するために使われる薬で、神経系の活動をしずめる作用があります。睡眠障害のひとつ「むずむず脚症候群」の治療に使われることもあります。

クロナゼパムを服用すると、ほとんどの場合は1週間でレム睡眠行動障害の症状が軽減されます。また、8~9割の患者さんはクロナゼパムだけで異常行動がなくなる、という報告も出されています。

ただし、クロナゼパムはレム睡眠行動障害を根本から治すわけではありません。服用をやめると、ほとんどの場合で症状が再燃します。

なお、クロナゼパムで効果が見られない場合は、プラミペキソール〈商品名:ミラペックスなど〉を使うこともあります。これもパーキンソン病の薬で、ドーパミン作動薬のひとつです。

※ ドーパミン作動薬:ドーパミンの働きを良くしたり、ドーパミンを補ったりする薬】

プラミペキソールが有効に作用する患者さんは7割くらいで、劇的に効果を発揮する場合と、まったく効かない場合に分かれるようです。

そのほか、最近の研究では「メラトニンの経口摂取がレム睡眠行動障害に有効」との報告も出ています。メラトニンは睡眠をうながす脳内物質ですが、年齢とともに分泌量が減少することが分かっています。

高齢になるにつれてメラトニンが減り、そしてレム睡眠行動障害が発症しやすくなる……ということは、両者には何らかの因果関係があるのかもしれません。

なお、メラトニンはサプリメントの形で摂ることができます。また、日々の生活習慣に気をくばることでも分泌量を増やせます。レム睡眠行動障害の治療はあくまでもクロナゼパムが第一選択ですが、メラトニンの分泌にも気をくばると、治療の手助けになるはずです。

↓メラトニンについては、下記リンク先も参考にしてみてください。

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病院で睡眠ポリグラフ検査を受けること!

一言でレム睡眠行動障害といっても、「ときどき大声をあげる」から「起き上がって暴れまわる」まで、その症状は広範囲にわたります。症状がどの程度なのかしっかり把握するためにも、医療機関で検査を受けるようにしましょう。

診断を確定するために行われるのは「終夜睡眠ポリグラフ検査」という検査です。これは睡眠時無呼吸症候群や、過眠症(ナルコレプシーなど)を診断するときも実施される検査で、とてもメジャーなものです。

この検査で「オトガイ筋」という筋肉の活動が見られた場合や、ビデオモニターで異常行動が確認された場合、レム睡眠行動障害と診断されます。

レム睡眠行動障害は、本人の自覚症状が少ないかわりに、寝室を共にしている家族はその症状を理解しています。そのため、医療機関を受診するとき(特に初診)は家族も一緒に行くのがベストです。

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