ベルソムラの副作用は決して少なくない

ベルソムラは新薬ということで、副作用の面でも従来の睡眠薬より改善されている……と言いたいところですが、そう言い切るのは難しいです。

不眠症患者を対象にした臨床試験では、全体の約20%に副作用が現れています。これは、ほかの睡眠薬よりも高い数値です。たとえば、マイスリーだと約17%、デパスだと約7%、ハルシオンだと約2.6%です。

ベルソムラの臨床試験では、総症例数が254例しかありません。ほかの睡眠薬の試験と比べるとかなり少ないです。これからデータが集まったら、副作用の内容やその確率が変わってくるかもしれません。

それでも、今のところ副作用は多めと考えておくほうが賢明と思います。

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覚えておきたい副作用は「傾眠」と「悪夢」

下記は、これまでに報告されている副作用の一覧です(添付文書の内容を元に作成しています)。

種類/頻度 1~5%未満 1%未満 頻度不明
一般・全身障害及び投与部位の状態 疲労
神経系障害 傾眠

頭痛

浮動性めまい
睡眠時麻痺
精神障害 悪夢 異常な夢

入眠時幻覚
睡眠時随伴症

夢遊症

傾眠時幻覚

ふらつきや健忘が無いのは大きなメリットです。とくに、高齢の方は薬の代謝が遅いので、朝起きたときにふらついてしまい、転倒につながることが睡眠薬の不安材料のひとつでした。その不安がなくなったという点では、従来のBZ系・非BZ系の睡眠薬から進歩していると言えます。

しかし、気になる副作用もあります。それは次の2つです。

①傾眠(4.7%)
②悪夢(1~5%未満)

この2つは、ベルソムラの服用を続けられない原因にもなるので、少し詳しく述べたいと思います。

傾眠のために昼まで眠気が残ることも

傾眠とは「浅い眠りにおちいっている状態」のことを指します。深く眠っているわけではないので、周囲の音で目が覚めます。この副作用は、朝目が覚めたときに睡眠作用が残っているために起こります。作用時間の長い睡眠薬を使ったときによく見られます。

ベルソムラはその作用時間(=6~7時間)のわりには、傾眠が多く発生します。臨床試験では、4.7%の人に傾眠が見られました。作用時間が同じくらいの睡眠薬デパスだと3.6%、もう少し作用時間の長いロヒプノールだと1.8%です。

(※ デパスとロヒプノールの添付文書では、副作用の表記が「傾眠」ではなく「眠気」となっていますが、ほぼ同じものを指していると思われます)

また、ベルソムラによる眠気は、朝だけでなく昼以降にも持続することがあります。作用時間から考えると昼まで薬が残るとは思えないのですが、「日中までだる重い眠気が続いて、仕事に影響が出る」という声も挙がっています。

その一方で、眠気がまったく残らない人もいます。「新薬ベムソムラはどんな不眠症に有効?」で述べていますが、ベルソムラの睡眠効果は個人差が大きいです。副作用が出る・出ないについても、個人差が大きくなるのは不思議ではありません。

車の運転は問題ない……?

ここでひとつ注意しておきたいのは、「ベルソムラを継続服用している期間に、車の運転をして大丈夫なのか?」という点です。

以下は、ベルソムラの自動車運転に関する試験結果です(添付文書から引用)。これによると、28例中4例は眠気のために検査自体が中止となっています。

健康成人28例に、本剤20mg又は40mgを就寝前投与し、翌朝(投与後9時間)に自動車走行検査を実施したとき、20mgの単回投与、40mgの単回及び8日間反復投与において、一部の被験者に運転能力に対する本剤の影響が認められた。

なお、2例が40mg投与時に、1例が20mg投与時に、1例が40mg及び20mg投与時に、傾眠の発現のため自動車走行検査を中止した。

ベルソムラを服用していて薬の持ち越しを感じたことがある方は、車の運転は控えたほうが賢明です。メーカーからも注意喚起が出ています。同様に、高所作業や重機の操作(危険を伴う機械の操作)も危険です。

ベルソムラは悪夢を見やすい睡眠薬

ベルソムラの臨床試験では、1~5%未満の人に悪夢の副作用が見られました。ほかの睡眠薬だと、マイスリーで0.1~5%未満、ハルシオンは0.1%未満です。また、デパスやロヒプノールでは添付文書中に記載がないので0%と考えて良さそうです。

このデータから考えると、ベルソムラは明らかに悪夢を見やすい睡眠薬です。

「ちょっと怖い夢を見るだけなら、騒ぐほどの副作用じゃない」と思う方もいるかもしれません。しかし、悪夢を見ると夜中に目が覚める確率が上がります。これが問題です。

ベルソムラは中途覚醒を抑えるためによく使われますが、悪夢のせいで夜中に起きてしまったら、何のために薬を飲んでるのかわかりません。

しかも、ベルソムラ服用時に見る夢には特徴があります。目覚めたあとも記憶に残るような、リアルではっきりした悪夢を見ることが多いようです。そんな夢を見てしまったら、精神的にも悪い影響があります。その後の再入眠がしにくくなる可能性も出てきます。

ベルソムラが合わない場合、毎晩とは言わなくても数日に1回の割合で悪夢を見る人もいます。また、仕事や人間関係などで精神的なストレスを抱えている場合は、悪夢を見る確率が高くなります。

薬に慣れれば悪夢を見なくなる、というわけでもありません。「自分には合わない」と感じたら無理をしないで服用をやめましょう。ベルソムラ以外にも睡眠薬はたくさんあります。

以上、ベルソムラの副作用について述べてきました。マイナス面にだけ焦点が当たってしまったようにも思いますが、ベルソムラには依存性がきわめて低いという長所もあります。詳細は「新薬ベムソムラはどんな不眠症に有効?」のページで述べています。
(ベルソムラの効果や薬価などにも言及していますので、あわせてご覧ください)

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