新薬ベムソムラはどんな不眠症に有効?

ベルソムラは、2014年11月に発売されたばかりの新しい睡眠薬です。その効果には未知数の部分があり、体質に合う人と合わない人が極端に分かれるようです。強力な睡眠作用が得られる場合もあれば、副作用が強く出てしまって薬を続けられない場合もあります。

このページでは、ベルソムラの基本知識をご紹介します。なお、重要点↓のみ先に記載しておきます。

  • 対象 ……入眠障害と中途覚醒
  • 副作用……確率は高め(眠気の持ち越しや頭痛、悪夢など)
  • 依存性……弱い
  • 薬価 ……新薬なので高い

※ 副作用については別ページに移動しましたので、合わせてご覧ください。

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入眠障害には「やや弱め」、中途覚醒には「強め」に効く

ベルソムラは、次の2つの不眠症に対して有効です。

入眠障害の解消に適しているのは、服用後すみやかに眠気がやってくる睡眠薬です。たとえば、従来型の睡眠薬であるマイスリーやアモバン、ハルシオンなどは、服用してから15~20分で効果発現するため、入眠障害の方によく利用されています。

それに対して、ベルソムラは服用後眠くなるまでに30分ほどかかります。即効性の点ではマイスリーなどに少し劣りますが、入眠障害対策に充分使える範囲です。
(ただし、服用後1~2時間たたないと眠くならない、という声もあります)

また、ベルソムラは睡眠作用が6~7時間続くため、夜中に目が覚める「中途覚醒」を抑える効果が強いです。眠りについてから3時間くらいで一度起きてしまう方は多いと思いますが、ベルソムラならそのタイミングでも薬の効果がしっかり残っています。

ちなみに、マイスリーやハルシオンの作用時間は約3時間です。これに比べると、ベルソムラは持続力のある睡眠薬と言えます。

一般的な評価としては、入眠障害には「やや弱め」、中途覚醒には「強め」の改善効果がある、といったところでしょうか。ただ、ベルソムラには不安を抑える作用がないので、不安感のせいで眠れない場合には不向きです。
(抗不安作用が強い睡眠薬はデパスやハルシオンです)。

早朝覚醒にもある程度の効果が期待できる

入眠障害や中途覚醒だけでなく、ベルソムラは早朝覚醒を抑えるためにも使用されます。早朝覚醒というのは、朝早く目が覚めてしまって、その後再入眠できなくなる不眠症です。高齢になると、この不眠症にかかりやすくなります。

高齢者は、睡眠薬を服用すると筋弛緩作用が強く出てしまい、朝方にふらつきが発生しやすいです。しかし、ベルソムラはふらつきが起きにくい睡眠薬です。その点で、高齢の方にも向いていると言えます。

ただし、ベルソムラは作用時間が6~7時間あるといっても、終盤は睡眠作用が弱くなります。人によっては薬の作用が早く切れてしまい、早朝覚醒を抑えられない可能性があります。この辺は実際に使ってみないと分かりません。

なお、ベルソムラは二次性不眠症に対する有効性が確認されていません。二次性不眠症というのは、うつ病や統合失調症、双極性障害などによって引き起こされる不眠症です。

たとえば、うつ病になると入眠障害と早朝覚醒を併発することがあります。これに対してベルソムラが効果を発揮するかどうかは、今のところ不透明です。

補足

不眠症ごとの睡眠薬の選び方について、下記のページにまとめましたので参考にしてみてください。

効果の個人差が大きい?

睡眠薬にはいろいろな種類がありますが、現在主流となっているのはBZ系(ベンゾジアゼピン系)と非BZ系(非ベンゾジアゼピン系)の睡眠薬です。たとえばハルシオンはBZ系、マイスリーは非BZ系です。

ベルソムラは、そのどちらにも属さない新しい睡眠薬ですが、睡眠作用の強さはBZ系や非BZ系と同程度です。特別に強いわけでも弱いわけでもありません。

しかし、実際のところその効果には大きな個人差が出るようです。ある人は、ラボナ(バルビツール酸系で超強力)と同じくらい効くと言います。またある人は、レンドルミン(激弱の睡眠薬として有名)よりも効果がないと言います。ここまで評価が分かれる睡眠薬は珍しいです。

なぜ人によって効果の差が大きくなるのか?

ベルソムラは、従来の睡眠薬とは作用メカニズムが異なっています。それが効き目の個人差を生み出している可能性があります。

どういうことかというと……

従来のBZ系・非BZ系睡眠薬は、脳の活動を鎮静化して眠気をもたらします。薬剤ごとに多少の違いはありますが、ハルシオンでもマイスリーでも脳の活動を抑えること自体は共通しています。

それに対して、ベルソムラは別のアプローチで睡眠をうながします。人間の脳には「オレキシン」という物質があるのですが、この物質は脳の覚醒を維持するために必要な物質です。ベルソムラは、この覚醒物質オレキシンの働きをブロックすることで眠気をもたらします。

オレキシンの量は、睡眠中は多くありません。しかし、朝起きると生産量が増えて、眠りからの覚醒をうながします。そして、夜になると今度は体内量が少なくなって、眠気がやってきます。これが通常の流れです。

もし、何らかの理由のせいで夜になってもオレキシンの量が減らないとどうなるでしょうか。覚醒状態が続くために眠気がやってきません。逆に言うと、過剰なオレキシンをブロックできれば眠気がやってくるはずです。この考えにもとづいて作られたのがベルソムラなのです。

ただし、ここでポイントとなるのは「オレキシンの多い少ないだけで眠気が決まるわけではない」という事実です。睡眠に関わる物質は、これまで見つかっているものだけで30種類もあります。それらの相互作用で眠気がもたらされます。

まとめると……

オレキシン量が過剰なせいで不眠になっている場合には、ベルソムラはよく効くでしょう。しかし、「オレキシンについては正常だけれど、そのほかの原因のために眠れない」という場合、ベルソムラはあまり効かない可能性があります。このあたりが、効果の個人差が大きくなる原因のひとつと考えられます。

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依存性が少ない、これは素晴らしいメリット

睡眠薬の依存は2種類あります。精神依存と身体依存です。

精神依存
快楽を得るために薬物を摂取したいという衝動的な欲求が現れること

身体依存
薬物の服用をやめたときに、さまざまな不快症状(離脱症状)が発生すること

睡眠薬で問題になるのは、もっぱら身体依存のほうです。つまり「不眠症が治ったので睡眠薬をやめよう!」と断薬する段階になって、はじめて問題が起こるのです。具体的には、不眠や不安などの離脱症状が生じるために、薬をやめられなくなります。

ベルソムラには、身体依存のリスクがないことが臨床試験で確認されています。これは大きなメリットです。

一度身体依存になってしまうと、そこから抜け出すのは簡単ではありません。

ある調査報告では、「ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ハルシオンやマイスリーなど)を処方された患者のうち、30%が1年以上、そして10%が3年以上も服用を続けている」という結果が出ています。この中には、離脱症状のせいで断薬できない人が多数いると考えられています。

しかし、ベルソムラは服用を続けても身体依存にはなりません。断薬時の不眠や不安・イライラといった離脱症状は起きようがないため、薬をスムーズにやめることが可能です。

なお、身体依存のリスクはゼロでも、精神依存は別です。臨床薬理試験では「ベルソムラの精神依存になるリスクは、マイスリーと同程度」という結果が出ています。

ただ、マイスリー以外にも言えることですが、睡眠薬の精神依存性はそもそも高くありません。睡眠薬を飲んだとしても、それが直接快楽をもたらすわけではないからです。そのため、ベルソムラの精神依存性については過度に心配しなくて大丈夫でしょう。

薬価:ほかの睡眠薬に比べると費用は高め

ベルソムラの薬価は20mg錠が107.9円、15mg錠が89.1円です(2015年9月時点)。保険料3割負担なら一ヶ月の費用は約1000円です。計算したところ、これに調剤報酬を含めると1か月1500円くらいになるようです。

ほかの睡眠薬に比べれば費用が高いのは事実ですが、ネックになるほどではないと思います。

薬品名 薬価(円)
ベルソムラ錠 20mg 107.9
ベルソムラ錠 15mg 89.1
ロゼレム錠 8mg 84.9
マイスリー錠 10mg 69.7
マイスリー錠 5mg 43.7
ハルシオン 0.25mg錠 14.7
ハルシオン 0.125mg錠 10.2

※ 薬価は変わる可能性があります

ただし、ベルソムラは新薬なので2週間分しか処方されません。そのため2週間ごとに病院に行く必要があり、人によっては通院するための交通費が高くつくかもしれません。

なお、2015年12月1日から長期処方解禁になる予定です。そうなれば、1ヶ月分をまとめて受け取れるようになります。

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