日中に居眠りを繰りかえす「ナルコレプシー」とは? その症状と特徴について

日中眠くなる病気として有名なのがナルコレプシーです。これは過眠症のひとつで、突然睡魔におそわれてどんな状況でも眠ってしまう病気です。居眠り病と表現されることもあります。

「どんな状況でも寝てしまう」というとちょっと大げさに思われるかもしれませんが、本当にありとあらゆるタイミングで眠りに落ちてしまいます。車を運転しているときや食事をしているときにも、突然眠ってしまうのです。

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ナルコレプシーは具体的にどういう症状なのか?

ナルコレプシーの症状としてまず挙げられるのは、昼間に突然眠ってしまうことです。眠る時間は10~20分と比較的短く、眠りから目が覚めたときはスッキリしていることがほとんどです。

しかし1~2時間くらいたつと、また強い眠気に襲われて短時間の睡眠を繰りかえしてしまいます。この短時間の眠りは一日に3~5回ほど起こりますが、人によっては10回以上眠りに落ちることもあります。

ちなみに、前日にきちんと睡眠時間を確保していたとしても、それとは関係なしに眠気が襲ってきます。

ナルコレプシーの眠気は、睡眠不足のときに感じる眠気とはレベルが違います。「三日間まったく眠らなかった場合の眠気と同程度」と言われるくらい強烈です。

そして大変なのは、普通では考えられない形でこの眠気がやってくることです。たとえば、入社試験で面接を受けている最中に眠りに落ちてしまったり、仕事でプレゼンをしているときに突然睡魔に襲われて、眠りこんでしまうのです。

緊張をともなう場面ですら寝てしまうわけですから、バスや電車に揺られていたり、長い会議・退屈な講義など、普通の人でも眠気を感じる場面ではなおさら眠りに落ちてしまいます。

しかしその反面、いったん眠りについてしまえば短時間で目を覚ますことができます。また、周囲の人から声をかけられたり身体を揺り動かされたりすれば、簡単に目が覚めるという特徴もあります。

からだの力が突然抜けてしまうのもナルコレプシーの症状

「笑う」「驚く」「怒る」といった感情の変化にともなって身体の力が突然抜けてしまう……これはナルコレプシーの症状のひとつで、専門的には情動脱力発作(じょうどう だつりょく ほっさ)と呼ばれています。

この情動脱力発作は、ナルコレプシー特有のものです。そのため、ナルコレプシーかどうかを判断するときの重要な手がかりになります。

情動脱力発作の引き金になるのは、ネガティブな感情よりもポジティブな感情です。褒められて嬉しさを感じたときや、友人と話をしていて思わず大笑いしたときなどに脱力してしまうことが多いとされています。

身体の力が突然抜けるので、場合によっては立っていられなくなって倒れてしまうこともあります。顎の力が抜けてろれつが回らなくなったりすることも少なくなりません。

情動脱力発作の持続時間は通常短く、1~2秒でおさまることが多いです。長くても数分で終わります。このとき意識ははっきりしているのですが、筋肉に力が入らない状態なので声が出せません。「意識が残っているのに身体を動かせない!」というのは強い恐怖感を感じる要因になります。

なお、情動脱力発作と似ている症状に「てんかん」がありますが、この2つはまったく別物です。てんかんの場合は意識がなくなり、呼吸をするための筋肉も停止してしまいます。それに対して、ナルコレプシーの場合は意識がはっきりしていて判断能力も残ります。呼吸が停止することもありません。

そのほかの特徴は?

ここまで述べたとおり、

  • 昼間に短時間の睡眠をくりかえす
  • 感情の変化にともなって身体の力が抜ける

というのがナルコレプシーによく見られる症状です。

それに対してこれから述べる2つの症状は、ナルコレプシーにかかっている人でも症状が現れる場合とまったく出ない場合に分かれます。

1.眠り始めのタイミングで幻覚を見る

眠りに入ってすぐに、現実感や恐怖感をともなった幻覚を見るのもナルコレプシーの代表的な特徴です(入眠時幻覚)。

この幻覚は実際にはただの夢なのですが、眠り始めは大脳皮質がまだ活発に働いているので、意識がはっきりしています。そのため、普通の夢に比べてリアルな生々しさを感じてしまい「幻覚を見た!」と認識するわけです。

ちなみに寝入りばなに夢をみてしまうのは、通常の睡眠リズムとナルコレプシーの睡眠リズムに違いがあることが原因です。具体的には「レム睡眠」の出現タイミングが異なっています。

睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の2種類がありますが、人が夢を見ているときはレム睡眠の最中です。本来であれば、このレム睡眠は寝ついて1時間以上たってから出現します。この場合、寝ついてからだいぶ時間がたっているため、夢の内容をしっかり認識することはできません。

しかし、ナルコレプシーの睡眠リズムでは、レム睡眠が寝入ってすぐに出現します。そのため、意識がはっきりしたままリアルな夢を見ることになり、それを幻覚と思ってしまうのです。

2.金縛りにあう

先に述べた入眠時幻覚と同時に、金縛りが現れることも多いです。手足が麻痺したように動かなくなり、声を出そうにも出せない……そんな状態が金縛りですが、呼吸はできますので命にかかわることはありません。

金縛りになるタイミングは眠りに入る直前が一番多いですが、明け方に眠りが浅くなったときに起きることもあります。

なお、金縛りはナルコレプシーだけに見られる特徴ではありません。しかし、その頻度は普通の人よりもはるかに多いです。
(少し話がそれますが、金縛りの解き方にはコツがあります。金縛りを解くシンプルな方法

有症率は1000人に1人くらい

ナルコレプシーは10代のうちに発症することが多く、そのピークは14歳前後です。ちょうど夜更かしが多くなる年齢のため、ナルコレプシーにかかったことに気づかず、ただの睡眠不足だと誤認している人もいるかもしれません。

また、ナルコレプシーの症状をもっている人は、全人口の0.05~0.1%(1000人に1人くらい)と言われていますが、今のところ正確な数は分かっていません。この病気のことを知らないだけで、実際はもっと多くの人がナルコレプシーを発症している可能性も否定できません。

いずれにせよ、ナルコレプシーはかなり珍しい病気ですし、その存在を知らない人から見れば奇異に見えることも事実です。そのため、家族をふくめた周囲から理解が得られないという現実があります。こうした背景があるためか、ナルコレプシーはうつなどの精神的な症状を併発することも多いようです。

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